セミナー

基本的な考え方

道徳教育の
機会、
目標、
留意事項

■ 学校の教育活動全体を通して行う道徳教育
〇 道徳教育の機会
 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」と いう。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳 科はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動 のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導 を行うこと。
〇 道徳教育の目標
 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,自己の生き方を 考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤とな る道徳性を養うことを目標とすること。
〇 道徳教育推進上の留意事項
 道徳教育を進めるに当たっては,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他 社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらを育んで きた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国家及び社会の 形成者として,公共の精神を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と 発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意 すること。

道徳科の
目標

■ 道徳科の目標
第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,より よく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値について の理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生 き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実 践意欲と態度を育てる。

道徳的価値の理解

 児童が今後,様々な問題場面に出会った際に,その状況に応じて自己の生き方を考え,主体的な判断に基づいて道徳的実践を行 うためには,道徳的価値の意義及びその大切さの理解が必要になる。
(価値理解)道徳的価値を人間としてよりよく生きる上で大切なことであると理解 することである。
(人間理解)道徳的価値は大切であってもなかなか実現 できない人間の弱さなども理解することである。
(他者理解)道徳的価値を実現した り,実現できなかったりする場合の感じ方,考え方は一つではない,多様である ということを前提として理解することである。
道徳的価値が人間らしさを表すものであることから,価値理解と同時に人間理解や他者理解を深めるようにする。

自己を
見つめる

 自己を見つめるとは,自分との関わり,つまりこれまでの自分の経験やそのと きの感じ方,考え方と照らし合わせながら,更に考えを深めることである。
このような学習を通して,児童一人一人は,道徳的価値の理解と同時に自己理解を深 めることになる。また,児童自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実 感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるようになる。

多面的・
多角的に考える

 道徳的価値やそれに関わる物事を多面的・多角的に考える指導のためには,それらを一面的に捉えるのでは なく,児童自らが道徳的価値の理解を基に考え,様々な視点から物事を理解し, 主体的に学習に取り組むことができるようにすることが大切である。

自己(人間として)の生き方についての考えを深める。

 道徳的価値の理解を基に自己を見つめるなどの道徳的価値の自覚を深 める過程で,同時に自己の生き方についての考えを深めているが,特にそのこと を強く意識させるようにする。
道徳的価値の理解を自分との関わりで深めたり,自分自身の体験やそ れに伴う感じ方や考え方などを確かに想起したりすることができるようにするな ど,特に自己の生き方についての考えを深めることを強く意識して指導すること が重要である。

道徳的な
判断力,
心情,
実践意欲,
態度を育てる。

■道徳的判断力:人間として生きるために道徳的価値が大切なことを理解し,様々な状況下に おいて人間としてどのように対処することが望まれるかを判断する力
■道徳的心情:道徳的価値の大切さを感じ取り,善を行うことを喜び,悪を憎 む感情。人間としてのよりよい生き方や善を志向する感情
■道徳的実践意欲:道徳的判断力や 道徳的心情を基盤とし道徳的価値を実現しようとする意志の働き
■道徳的 態度:道徳的判断力や 道徳的心情に裏付けられた具体的な道徳的行為への身構え

授業者の
指導観

⑴ 授業者の価値観(ねらいとする道徳的価値について)
 ねらいや指導内容についての授業者の捉え方であり、当該の内容項目について特に大切にしたいことを「ねらいとする道徳的価値について」としてまとめたものである。ここに記されていることは、各教科等、様々な機会に指導すべきことである。
⑵ 生徒観(生徒の実態について)
授業者の価値観に基づいて行った指導の結果としての児童生徒のよさや課題、その上で道徳的価値について児童生徒に考えさせるべきこと。ねらいとする道徳的価値を視点としたよさや課題を把握することが、ねらいとする道徳的価値に関して考えさせたいこと、学ばせたいことなど、教師の願いにつながる。 
⑶ 教材観(教材について)
児童生徒に考えさせたいこと、学ばせたいことを基に、教材活用の方向性である。

備考

上記の基本的な考え方は、『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』に基づいています。